猫にも東洋医学をもっと活用しようと、調べました。人間の方は、ある程度知っているのですが、動物に鍼灸をするには、獣医でなければ治療はできません。よって、動物専門の鍼師や灸師はいないのです(鍼師と灸師は別資格で、按摩・マッサージ・指圧師という資格があります)。

東洋医学において陰陽五行といわれる五行は、木火土金水に分けられ、臓腑、味、色、季節、感情などを分類しています(五行の表を参照)。

五行は、母と子の関係(相生)、お互いに支配しあう関係(相剋)で説明されています。たとえば、母である肺(金)の具合が悪くなると、子である腎(水)も調子が悪くなり、水分過剰になったり(相生関係)、食べ過ぎで胃(土)を酷使し弱まると、木である肝が正常でも支配しすぎの状態(相剋関係の中の相乗)になり、心(火)の気が亢進しすぎて心を支配している腎(水)を逆に支配してしまう(相剋関係の中の相侮)ということが起こります(相生・相剋関係参照)。

ちなみに、臓は陰、府は陽で、肝・胆、心・小腸、脾・胃、肺・大腸、腎・膀胱は、陰陽表裏の関係です。
主要な経絡には、任脈、督脈および十二正経があり、十二正経は、肺、大腸、胃、脾、心、小腸、膀胱、腎、心包、三焦、胆、肝の経絡の順に流れています(経絡の流注参照)。

五行における臓腑別に効く経穴
五行 臓腑 経穴 位置 経絡 説明
肝・胆 太衝 後ろ足で、第1第2中足骨接合部。 足厥陰肝経 血と気の強化
期門 第9肋軟骨付着部下際。 足厥陰肝経 肝臓と脾臓にある余分な水分を取り除く。
章門 最後から2番目の肋骨の先。第11肋骨前端下際。 足厥陰肝経 脾臓のバランスを整え、たまった湿と熱を脾臓から取り除く。
行間 後ろ足前側で、指の骨が足の骨につながるところ。第1中足指節関節の前外側。 足厥陰肝経 いらいらしたり、吐くとき。
足臨泣 後ろ足の甲、三指と四指の間。第4、第5中足骨後端接合部の前のくぼみ。 足少陽胆経 肝臓の補気、補血。
環跳 尻の後ろのくぼみの中。股関節横紋外端で大転子の前上部。 足少陽胆経 腰や尻の痛み、後ろ足のこわばりやしびれに効く。
陽陵泉 後ろ足の外側で膝の下。腓骨頭前下際。 足少陽胆経 関節や腱と体全体の靱帯を強める。
肝兪 背骨の両側9番目と10番目の間。T9。 足太陽膀胱経 肝臓のバランスをとり、強化。
胆兪 背骨の両側10番目と11番目の間。T10。 足太陽膀胱経 胆嚢のバランスを取り戻し、胆汁の流れを良くする。
三陰交 後ろ足内側、脛骨のすぐ後ろ、アキレス腱の始点の下。 足太陰脾経 足の三つの陰経である脾経・腎経・肝経が交わる穴。血と体液を増加させる。
巨闕 腹部中心線上で、首とお臍の間。胸骨体下端の下2寸。 任脈 神経を鎮め、食べ物や胆汁を吐くのをおさえる。
中脘 腹部中心線上で、胸剣状軟骨の先端と臍の間。 任脈 胆汁、粘液、水、食べ物など、何を吐くときにも有効。
心・小腸 神門 前足首のしわ、尺側。豆状骨と尺骨側のくぼみ。 手少陰心経 精神を静め動悸をおさえる。
内関 前足の内側で前足首のすぐ上。前足首から2寸。 手厥陰心包経 神経を静め、気の流れを正常化する。
太衝 後ろ足で、第1第2中足骨接合部。 足厥陰肝経 すべての内臓器官をうるおし、血を循環させ不足を補う。
三陰交 後ろ足内側、脛骨のすぐ後ろ、アキレス腱の始点の下。 足太陰脾経 肝・脾・腎を丈夫にし、血を増加させる。
足三里 後ろ足外側、脛骨のすぐ後ろ。脛骨前縁を擦上して指の止まる所の外のくぼみ。 足陽明胃経 体のエネルギーを強め、下肢を強化する。
心兪 背骨の両側で5番目と6番目の間。T5。 足太陽膀胱経 心臓に直接働きかけ、心臓のエネルギーのバランスを整える。
厥陰兪 背骨の両側で4目と5番目の間。T4。 足太陽膀胱経 心包の機能を高める。
百会 背中の最後の腰椎と仙椎の間のくぼみ。 督脈 発作やぐるぐる歩き回ったり、混乱したとき。
中脘 腹部中心線上で剣状突起と臍の間。 任脈 消化を助け脾臓とともに胃がなめらかに働くよう助ける。
膻中 腹部の中心線上で、胸骨先端部のくぼみ。両乳頭を結ぶ線上。 任脈 横隔膜の働きを正常にし、動悸をおさえる。
脾・胃 足三里 後ろ足外側、脛骨のすぐ後ろ。脛骨前縁を擦上して指の止まる所の外のくぼみ。 足陽明胃経 胃腸を丈夫にし、気を強める。
内庭 後ろ足の1番目と2番目の指の間。第2中足指節関節の前、小指側。 足陽明胃経 胃の熱を冷まし、気を整える。
中脘 腹部中心線上で剣状突起と臍の間。 足陽明胃経 胃腸を丈夫にする。
内関 前足の内側で前足首のすぐ上。前足首から2寸。 手厥陰心包経 嘔吐を止め、気分を鎮静させる。
脾兪 背骨の両側で、後ろから数えて2番目と3番目の間。T11。 足太陽膀胱経 胃腸の働きを強め消化をよくする。
肺兪 背骨の両側で胸椎の3番目と4番目の間。T3。 足太陽膀胱経 肺の熱,を取り去り、内臓のバランスを整える。喉の渇きをいやす。
三陰交 後ろ足内側、脛骨のすぐ後ろ、アキレス腱の始点の下。 足太陰脾経 肝・脾・腎の働きを活発にし、体重減少をくい止める。
巨闕 腹部中心線上で、首とお臍の間。胸骨体下端の下2寸。 任脈 胸焼けをおさえ、胃の熱を冷ます。
百会 背中の最後の腰椎と仙椎の間のくぼみ。 督脈 体の陽気を高める。
肺・大腸 尺沢 前足の膝のしわの内側で橈側。 手太陰肺経 肺の熱を取り、咳を止める。
列缺 前足の内側で、足首のしわの上1寸5分、橈側拍動部。 手太陰肺経 肺の熱を取り、肺の陰を助け丈夫にする。
太淵 前足の内側で、足首のしわ上、橈側拍動部。 手太陰肺経 肺を強化して痰をなくし、咳を止める。
合谷 前足の1指と2指の間。第1、第2中手骨骨底の前のくぼみ。 手陽明大腸経 急性疾患を直し、抵抗力を強める。
曲池 前足の外側で、膝を曲げたときにできるしわの外側、橈側。 手陽明大腸経 体を温め、痛み、炎症、湿気を取り除く。
迎香 鼻の穴の両端が顔にぶつかるくぼみ。 手陽明大腸経 副鼻腔炎に。
豊隆 後ろ足の外側で、膝と足首の中央。 足陽明胃経 痰を治療する。
足三里 後ろ足外側、脛骨のすぐ後ろ。脛骨前縁を擦上して指の止まる所の外のくぼみ。 足陽明胃経 消化を助け、体の気を押し上げる。
天枢 臍の両脇1寸5分。 足陽明胃経 大腸の働きを正常にさせ、内臓を活発にしバランスをととのえる。
三陰交 後ろ足内側、脛骨のすぐ後ろ、アキレス腱の始点の下。 足太陰脾経 熱を取り除き消化能力を高め、下痢による脱水症状を予防。
太谿 後ろ足の内側で、内果とアキレス腱の間の拍動部。 足少陰腎経 腎臓の働きを強化する。
照海 後ろ足の内側で、内果の下1寸。 足少陰腎経 陽熱を冷まし、水分のめぐりを良くする。
肺兪 背骨の両側で、3番目と4番目の胸椎間。T3。 足太陽膀胱経 肺を統合し、バランスを整える。
膀胱兪 背骨の両側で、2番目と3番目の仙骨の間。S2。 足太陽膀胱経 膀胱に関するあらゆる症状に。
脾兪 背骨の両側で、最後から2番目と3番目の胸椎の間。T11。 足太陽膀胱経 脾臓の気を強める。痰が出にくいようなとき。
大腸兪 背骨の両側で第4腰椎と第5腰椎の間。L4。 足太陽膀胱経 下痢や便秘の際に大腸のバランスを調整する。
風池 頭の後ろの両側で、耳と首の間のくぼみ。 足少陽胆経 風邪を表面に追い出す。
外関 前足首前側で、足首の上2寸。 手少陽三焦経 熱を下げ、炎症を静め、喉の痛みを和らげる。
支溝 前足の前側で、足首から膝までで足首から4分の1。 手の少陽三焦経 気をめぐらせ、気の停滞を解消させる。
天突 首の中心線で、肋骨の始まるすぐ上。頸窩中央。 任脈 肺の気を正常に動かす。
腎・膀胱 太谿 後ろ足の内側で、内果とアキレス腱の間の拍動部。 足少陰腎経 腎臓を丈夫にし、全身のエネルギーの調節をする。喉の渇き、腰の弱り、尿量の減少、乾いた咳、便秘、乾燥してかゆい皮膚。
復溜 後ろ足の内側でアキレス腱の始まる所内縁。 足少陰腎経 腎の気を調整する。ほてり、足腰の弱り、膀胱炎。
腎兪 背骨の両側で、腰椎の2番目と3番目の間。L2。 足太陽膀胱経 腎臓の病気を治すのに重要。腎機能を正常にする。
委中 後ろ足の膝の裏中央。 足太陽膀胱経 下半身の熱を取り去り、痛みを楽にする。
経渠 前足首を動かすと、橈骨のヘリでしわになる所内側。太淵の上、拍動部。 手太陰肺経 肺の機能を丈夫にする。腎の母である肺を補って腎を強化。
行間 後ろ足前側で、指の骨が足の骨につながるところ。第1中足指節関節の前外側。 足厥陰肝経 肝の気の流れの滞りを治し、スムーズに排尿できるようにする。
曲泉 後ろ足の膝の後ろのしわの内側。 足厥陰肝経 湿と熱を緩和し、筋肉を和らげる。
三陰交 後ろ足内側、脛骨のすぐ後ろ、アキレス腱の始点の下。 足太陰脾経 肝・脾・腎を強化する。喉の渇き、師父のかゆみ、貧血、情緒不安定。
陰陵泉 後ろ足の内側で、膝の所。脛骨内側果のくぼみ。 足太陰脾経 腎の機能を高め、水分の滞りを解消させる。
命門 背中の中心線で、腰椎の2番目と3番目の間。L2。 督脈 腎の体を温める作用を補う。足腰の弱り、尿漏れ。
中極 腹部中心線で、臍から恥骨までで、恥骨から5分の1の所。 任脈 膀胱の病気を治す中心。
関元 腹部中心線で、臍と恥骨の間、恥骨から3分の1。 任脈 体を温める作用を取り戻す。失禁、不妊症、性欲喪失。

参考) 『犬・猫に効くツボと漢方薬』『経穴概論』