神農本草経(上品)神農本草経(中品)神農本草経(下品)用語解説

中国最古の本草 (生薬) の書である神農本草経は、現代でもバイブル的存在です。神農本草経の原書は散逸して久しく、今日伝わるテキストはみな後世の輯本です。従って、どの神農本草経が正しいのかはわかりません。
現代人にはわかりやすい『意釈神農本草経 浜田 善利、曽戸 丈夫著』の順に記載し、本草の説明部分は、『神農本草経 森立之輯、松本一男編、新刻校補』から、対応させました。本草の名前も異なっていたり、漢字も違っていたりしていますが、同じものだと解釈して当てはめています。

本草経序録には以下のように書かれています。

『意釈神農本草経』と森立之輯本では、この上薬、中薬、下薬の分類は相違していますし、『意釈神農本草経』では、この順番を押しつけるものではない、と記述されています。上薬は上品ともいいますが、毎日摂取しても副作用がなく毒性がないもの、中品は副作用があるものも中にはあるという分類、下品は注意しないと副作用を起こすかもしれないもので、長く続けない方がよいものです。
本によってこれらの分類は微妙に変わりますので、上薬と書かれていたから毎日摂取しても大丈夫と判断しないほうが良いようです。あくまでも中医学の世界では、整体のそのときの症状に応じて薬が処方されますので、今まで不調だった部分が改善されると、薬の処方は変化していくからです。そして、陰陽のバランスを非常に重視します。薬でも食物でも、何々が良いからといって、ずっとそれを摂取し続けていると、当然陰陽のバランスは崩れていきます。季節に合ったもの、体質にあったもの、そのときの体調に合わせて食品や薬を選ぶのが正しい養生の方法です。